同人、エロ、RPG、ホラー、構成ジャンルすべての特性を生かし切った名作

所謂エロRPGだが、よくぞここまで作り込んだというしかない。
全体的な雰囲気はFCの名作ホラーRPG「スウィートホーム」に対するオマージュが散りばめられているが、独自要素も多く見事に別物と化している。

ストーリーはその辺のB級ホラーにもよくある、「悪霊のいる洋館に閉じ込められた男女が脱出を目指す」というもので、キャラクターもそれっぽい（優しいヒロイン、わがままお嬢、理知的な才女、いかにもな不良に、やんちゃな少年）面々だが、やたらとカップリング機能が豊富でホモレズカップルを成立させ、そこから寝取るという同人らしくも無茶苦茶な自由度が有り、しっかりと描かれるキャラクターの個性も見事。
個別のエロも非常に濃ゆく、ホモエロまで濃いのは好き嫌いが分かれそうだが、しっかり描かれるキャラクターの魅力と合わさりお気に入りキャラのエロシーンは非常に使えるだろう。

ホラー描写はファミコン風ドットで想像力を刺激させるタイプの演出重視と思いきや、エロ（成人対象）という部分を活かした直接的なグロテスク、流血描写も多く、商業ホラー作品は画質こそ高いモノの、年齢制限によるリミッターも有ったりするのでホラー作品としても中々。

RPGとしてはかなりがっつり作り込まれていて、各キャラの特性とシステムを分からないと1周目でクリアするのは難しい、マニュアルは必読。
ただし周回前提の作りで引き継ぎ要素は多く、クリアできない場合もギブアップによる引き継ぎ完備されているので、高難易度だが割り切ればクリアは容易。
ファミコンオマージュとはいえ、UIは操作量がそれ程多くならないよう洗練されてもいるが、ホラー作品という事もあり歩行速度や画面の見通し等は演出が優先されているのか一長一短。

総合的には紛れもない名作だが、やはりホラーという点で人を選ぶ要素はある。しかしホラーというだけでやらないのは惜しい優れたエロRPGである。