アルストツカに栄光あれ

某入国管理ゲームに大きくインスパイアされた、架空国家の関所番として過ごすアドベンチャー。
元ネタも発想の勝利と言えるゲームデザインだったが、こちらはエロゲーらしくセクハラが可能となっている。

ストーリーは元々戦場で名を挙げた戦士だった主人公が関所に左遷され、戦後間もない帝国で不穏分子をとっ捕まえたり何だかんだ部下と楽しく日々勤務して、徐々に重要な部門に配属されていく物。
元ネタと比べるとEDや分岐も多くないが、分かりやすく、またキャラクター性が強くなっているのでドライなあちらに比べるとかなりウェットな感じ。
とはいえ主人公や帝国の置かれた現状などから、それなりに乾いた雰囲気は出ている。

エロに関しては関所番という都合上、勤務評価を上げるには手早く審査しなければならず、セクハラに時間を掛けにくいジレンマとボディチェックが可能になるまで若干時間がかかるのだが、シチュエーションは秀逸。
モブ通行人の手形期限切れを指摘したら「お願い通して」とハニートラップを掛けられたり、ボディチェックと称しておっぱい揉んだりセックスしたり、衛兵の機嫌を取るために敵国人の衣装は没収したり…全体的には凌辱色だが、部下とは歪みながらも純愛っぽいエロだったりでイベントエロも存在するが、事前に公表されている4人はオリヴィア局長を除き一人一つ、オリヴィア局長も2つだけとゲーム性と価格を考慮しても少な目。
メインはむしろモブ相手なのだが、組み合わせパーツ数が正直少ない、絵の負担を考えてもそこまで増やせないジレンマは有るだろうが、セクハラやハニトラのセリフパターンもちょっと少なく、元ネタとは違った意味で単調になってしまっている。
もっとキャラやセリフのパターンを増やして欲しいとも思うが、価格的にはゲームの面白さと併せて適正といえば適正と思わなくもなく、発想自体はエロいのだが、このボリューム不足はどの程度評価するべきかは迷う所。

ゲーム部分は要するに間違い探し、チェック項目はステージで異なるが、期限や武装、写真、国籍等をチェックして通すか通さないかを判断し、異常が有れば指摘した上で拒否をすれば評価は高くなるが、勤務時間の関係上あまり長くチェックや説明をしているとセクハラする時間が消える。
流石に指紋の称号やX線検査だの亡命者だのまでチェック項目が膨れ上がる事にはならないが、それでも後半のステージはチェックが多くなって煩わしく、つい単調にチェックしてしまう事になりがち。
ココでセクハラがアクセントとしても機能するのだが、時間制限に悩まされる。
クリア後には時間制限のないモードも有るのだが、一人一人通行人を指定していく形式の為、関所番というシチュエーションの感覚に乏しい。
UIはチェック項目が少ない事情もあるが、元ネタより簡略化されていて非常に快適。

とにかくエロとシチュエーションがゲーム性と見事に融合していて、個々の項目を見ると足りない部分も目に入るが、1本のエロゲーとしては十分な出来でまとまっている。
気になったボリューム不足等もサークルのCi-enなどを見る限り増量予定ではあるらしく、総合評価はレビュー時点での暫定として。